star_of_bba’s diary

甲状腺、卵巣と立て続けに手術したのち遊び歩いてます。

夏の夕暮れについて(お題箱より)

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ネタ切れである。


病院に通わないとネタが切れる。でも病気にはなりたくない。困ったものである。いつものごとく、twitterお題箱のURLをあげて泣きついた。おかげでお題をいただいた。


夏の夕暮れは、好きですか?どんな気持ちになりますか?


最近、夫に「普通のブログになってきたね。」と言われた。ブログくらい普通でいい。引き続きお題を募集中です。なんでも大歓迎。どうかどうか。切に。よろしくお願いいたします。

odaibako.net


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海の近くで育った。遊泳禁止で、浜は砂ではなく小さな石がゴロゴロしている砂利浜だったけど、海は海だ。太平洋側だったので、比較的穏やかでもあった。
小学生の私にとって、そこはかっこうの遊び場だった。すぐ近くを通る有料道路の壁によじのぼり、こわごわ飛び降りた。河口で水浸しになって親に怒られた。いきなり川の水を飲みだす同級生男子に目を丸くした。時々、本当に時々だけ拾える貝殻を家まで大切に持ち帰った。
ティーンエイジャーと呼ばれる年頃になっても、海は身近なものだった。さすがにもう河口に入ったり有料道路の壁から飛び降りたりはしなかったけど、どれだけ居座っても追い出されない海で、何時間も友達と喋った。お金のない学生にとって、海は最高のデートスポットだった。

いつも楽しい気持ちばかりを抱えて海にいたわけじゃない。失恋とか、家庭の事情とか、そういう未成年なりの悲しさや辛さを抱えながら海を眺めていたこともたくさんある。それでも、今、海を思い浮かべる時に感じる気持ちはやさしさだ。その理由の一つに、きっと海で眺めた夕日がある。

何にも邪魔されない場所で見る大きな夕日は、言葉に尽くせない美しさだった。赤に近いオレンジが西の水平線に色濃く広がる日があったかと思うと、なんとも言えない、桃色に近い薄紫色が空全体を覆って見せたりもする。雲の隙間から、燃えるような朱色の光を覗かせるだけの日もあった。

一つとして同じものは無く、あまりにも圧倒的で、決して人が作ることのできない景色に、何にも知らないガキの狭い世界で起こるちっぽけなアレコレは、いつもあっけなく吹き飛ばされた。あとに残るのは、そんな景色をしみじみ眺めていられる幸福感だった。

こういう夕日の思い出があるから、夏の夕暮れは好きだ。いつだって、自分を取り巻く恵まれた環境を思って、じんわり、とてもとても幸せな気持ちになる。つくづく幸せな人生だ。