前回の続き
すっかり日が暮れて写真が取りにくくなった頃、水木しげるロードに2割くらい心を残しながら残りは明日楽しもうと言うことでホテルにチェックインした。
境港で予約した宿は『御宿 野乃』というところ。
ここも、出雲で泊まった月夜のうさぎと同系列の宿だった。特に意識して選んだわけではない。でも出雲も境港もかなり良い宿だったので、今後は旅先に同系列のホテルがあれば選ぶ際の基準になるかなと思う。
野乃は、出雲よりビジネスホテル寄りのホテルだった。アメニティやお部屋は出雲の方が素敵だったが、大浴場の露天風呂から見える景色は海に近いこともありとても綺麗だったし、朝食も十二分に美味しかった。何より、駅からも水木しげるロードからも徒歩30秒と言っても大げさじゃないくらいの近さは、とてもとても便利だった。
部屋に入って少し落ち着いてから夕飯を食べに外出することにした。こちらのホテルにも出雲と同じように夕食(ビュッフェ)付きのプランがあったが、港町なので海鮮を期待して選ばなかった。インターネットで夫と相談しながらあちこち検索して、峰というお店にしようと決めた。
峰はホテルから少し遠い場所にあったのでタクシーを呼んでもらうことにした。フロントに行ってタクシーをお願いすると、受け付けてくれた女の子に少し困った顔で「今どこもいっぱいみたいで…探してみますので少しお待ちいただけますか。」と言われた。全然OK!
フロントの子が電話をかける。「…そうですか。わかりました…。」という声が数回聞こえた。何度目かの同じようなやりとりの後「15〜20分後で良ければ1台来てもらえそうなんですが…」と申し訳なさそうに言われた。全然OK!
そのままロビーでのんびり待ち、無事タクシーが来てくれた。実際には15分もかからなかったように思う。「“峰”までお願いします。」とだけ告げて通じた。地方の観光はこういうところが楽でいい。
タクシーで港沿いをかっ飛ばし、10分もかからず峰に到着した。お店の前には立派なお魚(鯛?)の銅像があった。ここんちの人ら、銅像好きだな。
少し遅めの時間に行ったおかげか、お店は空いていてすんなり入ることができた。夫とメニューを吟味して、海鮮丼×2、お造り、イカのお刺身を頼んだ。海鮮全く関係ないフライやお肉料理もあってかなり興味をそそられたが控えた。ここであえて、という選択をしたい欲はいつでもあるけど、ここまで遠い地で次がいつになるか、なるどころかあるかどうかすら分からない場ではなかなか難しい。
どれもとてもおいしかった。特に海鮮丼に乗っていたウニがこれまで食べたことがないくらいおいしかった。私は感激すると記念に寺を建てたがる。ここでも「“雲丹寺”を建てる。」と騒いだ。
食事を大いに楽しんでからお店を出た。お店の方にタクシーを呼んでもらうつもりでいたのだが何となく頼みにくくてそのまま店を出てしまった。ぶらぶら20分くらいかけて歩いて戻ることにした。
ホテルまで戻ったが、そのまま前を素通りして線路を超えた向こう側にあるスーパーへ向かった。空気が澄み切った寒空の中、まわりになーんにも無い見知らぬ歩道を夫と歩いているのが不思議で楽しかった。
スーパーをぶらつき、やっぱりこっちは丸餅なんだ…!と感動したりしながらホテルに戻った。しっかり大浴場を堪能してぐっすり眠った。