star_of_bba’s diary

甲状腺、卵巣と立て続けに手術したのち遊び歩いてます。

家づくり記録(32)地鎮祭

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【前回までのあらすじ】
家の作りが全て確定した

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悲しい別れがありつつも家の仕様をすべて決めた私たち。前を向いて進んでいく。そしてとうとう、家を建てようと決めた時からやる気満々だった地鎮祭をする段階になった。着工前確認を終えた後、シゼンさんから地鎮祭は…?と聞かれたときは私も夫も食い気味に「やります!」と答えた。気合の入り方が違う。

ナチュラル社では神社にお願いして行う地鎮祭と、ナチュラル社の方たち総出で土地を清める「お清め」があるらしい。現実的な話、神社にお願いすると費用がかかる。お清めだったら無料とのこと。それでも私たちははりきって神社にお願いする方を選んだ。こんなこと2度と経験できないと思ったからだ。

地鎮祭をお願いする神社は自分たちで探すこともできるらしかったが、そこまでお付き合いの深い神社がないのでナチュラル社のお付き合いのある神社にお願いした。初穂料の用意だけで神様への貢ぎ物などなど必要なものは全て揃えてくださるという。ありがたい。執り行われる時間は暦と神社の方のスケジュールを鑑みて日曜のお昼過ぎになった。

当日。起きてみると、バッチバチの晴天というわけでは無かったが明るめの曇り空が広がっていた。予報では雨に降られてもおかしくなかったのでよかった。どうかこのまま雨だけは降らないでくれと祈りながら少しだけおめかしして夫と2人で現地へ向かう。早めに着いて、駅でお昼を食べてから現地に向かった。寒くもなく、ちょうどよい気候だった。

なんと言うことも無いのは分かっていたが、生まれて初めての経験なので少し緊張しながら歩く。その証というか、こんな時にスマホを忘れるという失態を犯した。痛恨のミスだ。夫はいつも通り、全然平気な様子だ。緊張しないの?と聞いたらなんで?全部やってもらうのに?と返された。そりゃそうなんだけど。

10分前に現地に到着。敷地内に車が停められているのが最初に目に入った。近づくと、既に神主さんがいらしていて祭壇もできていた。なんとなく道路に向かって開かれた形で祭壇などが組まれるものだと思い込んでいたが、実際は道路に平行な向きだった。きっとこの方向にも意味があるのだろう。祭壇の傍らには土が盛られていて、お山のてっぺんに草が差されていた。

神主さんに近づき、ご挨拶。とてもいい声の方だった。どことなく、夫の会社の元後輩に似ていた。

そろそろ時間になろうというところでコウジさんが到着。雑談を交わしつつシゼンさんを待つ。シゼンさんは5分ほど遅れて到着した。さらに、到着してすぐどこかへ電話し始めて3分ほどロス。いい度胸ですね。

気を取り直して祭事を始める。式次第は全て都度都度、神主さんが説明しながら進めてくれたので分かりやすく、安心できた。

まずは神主さんのお祈り。神社で良く見る木の棒に白い紙をつけた「御幣」と呼ばれるものをバッサバッサと振りながら神主さんが何か唱える。最後に低い声で「ぉぉおおおおお」と唸り、神様をお迎えした。それから全員で御祈願。

御祈願が終わると神主さんが土地の四隅に歩いていき、お米をまいてくださる。(なぜか私はここでジーンとしてしまった。)戻られた神主さんの誘導で、まずはシゼンさんが「えいっ、えいっ、えいっ」と言いながら鎌で草を刈るしぐさをして、差さっていた草を抜いた。それから私と夫で鍬(くわ)を持ち、シゼンさんと同じように「えいっ、えいっ、えいっ」と声を出しながら盛られた土を崩す。崩す際の手の動かし方も決められていて、盛られた土に向かって左→右→中央の順に鍬を振るうように教わった。これは先の鎌も、私たちの後に使われた鋤でも同じ流れだった。最後に、コウジさんがが鋤(すき)で土をならした。ここでももちろん、「えいっ、えいっ、えいっ」だ。

これで地鎮祭の大事な儀式が滞りなく済んだ。…と、突然雅楽が鳴り響いた。音の出所が分からない。どうも、神主さんが袖にスピーカーを仕込んでいるようだ。突然の音楽と音の出所の分からなさに俄然楽しい気持ちになってしまった。

大人なのでそんなことはおくびにも出さず、神主さんのご説明に従って次の儀式をしずしずと執り行う。待っていたのは、玉串を祭壇に納める儀式だった。風が強いので祭壇に備え付けられている文鎮で串を押さえるよう言われる。なんとも用意周到な感じが私の楽しい気持ちに拍車をかける。でもおくびには出さない。大人だから。玉串を納めて真面目に二礼二拍手一礼した。

全員が一人ずつ順番に玉串を奉納した。これで儀式はすべて完了らしく、神主さんが再び何かを唱えてから「おおおおおぉぉぉぉぉぉぉ」と唸って神様にお帰りいただいた。お迎えするときは唸り声がだんだん大きくなり、お帰りいただくときは声がだんだん小さくなっていた。なるほどと思う。世の中には知らない作法がたくさんある。

儀式の仕上げにお神酒を参加者みんなで向かい合って飲んだ。なかなかおいしいお酒だった。今日やることはこれで全部だったが、儀式としては『鎮物』と呼ばれるお守りのようなものを家の真ん中に埋めて完成となる。埋められたら二度と見られなくなってしまう『鎮物』を神主さんから手渡され、よく見せてもらった。人の形をとったもの、鏡、お金、剣、鉾、小刀、盾を表したものがそれぞれ金属で作られている。よくよく眺めてからコウジさんにお渡しした。基礎工事で埋めてもらうのだ。確かにお預かりしました。間違いなくちゃんと埋めます、と言っていただく。

地鎮祭はこれでお開きとなった。神主さんからも、ナチュラル社のお二人からもたくさんおめでとうございますと言っていただき、嬉しさと本当に家を建てるんだという実感がジワジワと沸いた。

神主さんが着替えられて後片付けされているところにそっと近づき、初穂料をお渡しした。神主さんは着替えられた後も水色の袴だった。…ということは袴で車を運転されてきたのだと気付いて感心。動きにくくないんだろうか。

神主さんが全て片付け終わり、私たちに供物を手渡してくださった。祭壇に供えられた食べ物は神様が召し上がった縁起物で、施主の持ち帰りとなる。事前にネットで調べ、シゼンさんにも聞いていたので慌てることなく、持ってきたクーラーバックへ鯛とキャベツ、きのこ、みかんを入れた。鯛は冷凍されていたが解凍が始まっていてちょっと心配な状態だった。

神主さんをお見送りした後はコウジさんと地縄の確認をした。地縄というのは土地に間取りの外枠を描いたロープのことで、これを見て建物の位置を最終確認する。張り巡らされたロープを見て、ネットで多く見かけた話の通りこんなに狭いのか…?と不安を覚えてしまった。後から聞いたら夫はぜんぜんそんな風には思わなかったらしいし、実際に建った様子を見た今では、私もあの狭い印象は何だったのだろうと感じていて、人間の目や感覚なんてあまり信用できるものじゃないなと思った。

それから地面の高さの基準についても説明があった。道路にあるマンホールの位置を基準にします、とのこと。この高さの基準の位置によって何が変わるのか、正直全然分からなかったがマンホールは土地のちょうど真ん中あたりだったし、まぁいいかとここでも大人の顔してもっともらしく「はい。」と頷いておいた。

その後はご近所へ工事前の挨拶をしてまわった。近隣に立つアパートには白タオルに工事を始めるご挨拶のカードを貼り付けて投函した。それからお向かいさんの3軒を訪問。2軒は留守だったのでご挨拶の品が入った紙袋にお手紙を入れて玄関ドアに掛けさせてもらった。1軒だけ、近隣で一番大きな豪邸はご在宅で、志村けんの『変なおじさん』みたいなピンクのズボンを履いたおじいさんが出てきた。少々面食らったが、やりとりはごく普通にできたので少しほっとした。裏手のお宅も留守だったので同じようにご挨拶の品だけ置いて引き返した。

最後にお隣へご挨拶。実は数週間前、解体工事が始まるのにあわせてシゼンさんが一人で近隣へあいさつ回りをしてくれたのだが、お隣のご主人から工事に関してあれこれ言われていたらしい。そんな経緯があったので少し身構えていたが、表面上は穏やかにご挨拶を返してくださり、少し肩透かしだった。まぁ良かったと思おう。挨拶の後、ナチュラル社へ移動して前回の打ち合わせからの修正箇所などを確認する打ち合わせを行った。

楽しみにしていたイベントは滞りなく済ますことができた。家に帰り、鯛は悪くならないうちにと急いで夕ごはんにした。大変立派な鯛で捌くのに一苦労だった。よく火を通したかったのでアクアパッツアにして頂いた。とてもおいしくできた。


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アクアパッツァ。見た目は豪華だけど簡単にできて良い。


アクアパッツァのお汁を、夫が恭しく小皿にすくった。そのまま無言でズズッと吸う。何してるんだろうと訝しがっていた私を見つめて小皿を差し出し、黙ったまま仕草だけで飲むように促す。仕方ないので神前婚のお神酒のように私も口をつけてお汁をいただいた。…なんだこの儀式。いやおいしいけども。

色々あったがようやくここまで来れた。あとは家が建つ様子を見守るだけだ。差し入れや見学もおもしろそうで楽しみだな。できるだけ見に行きたいな。…そんな風にこの先を思い描き、信じて疑わなかった。百年ぶりに未曽有の疫病が流行するなんて、いったい誰が想像できただろう。


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家づくり記録 目次① (1)~(10)1度目の検討
 家を作ろうと決めたきっかけから家づくりを1度諦めるまで。

家づくり記録 目次② (11)~(23)建築会社決定
 1度諦めた家づくりに再トライして建ててもらう会社を決めるまで。

家づくり記録 目次③ (24)~ (32) 建築開始
 家を建ててもらう会社が決まり、土地の購入から建築工事の開始まで。