star_of_bba’s diary

甲状腺、卵巣と立て続けに手術したのち遊び歩いてます。

家づくり記録(33)新型コロナ拡大の中で上棟

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【前回までのあらすじ】
地鎮祭やった。

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無事地鎮祭をしてもらえた私たち。残るはカーテンと火災保険のチョイスだが、ここは工事の着手にはあまり関係がないので家そのものは建築許可を取って建てるばかりとなった。

地鎮祭が終わった後にナチュラル社へ立ち寄った打ち合わせで、できれば大工さんと顔合わせさせてほしいとお願いし、シゼンさんに日程を調整してもらいつつ、カーテンの打ち合わせを2週間後と決めたころ、『それ』がやってきた。


『それ』は新型コロナウイルスの感染拡大だ。はじめのうちは、他所の国のできごとだった。大変だなぁとは思ったが、他人事としか考えていなかった。ところが。

まず家の設備関係での影響が世間で話題になり始めた。トイレなどはほとんどの部品が外国で作られている。その部品の輸入がパタッと止まってしまったらしい。部品が無ければ作りようが無い。続々と国内の設備メーカーから製造中断が発表された。

もちろん、ナチュラル社にも影響は及んだ。1階と2階にトイレをつけるお宅などはとりあえず1階のみ設置し、入荷次第の後追い工事とするなど、何とか工夫してやりくりしていたらしい。仮設トイレでの引き渡しなど、法的な緩和にも頼りながらどうにかスケジュールをまわしている様子だった。

とは言え私たちの家はまだ基礎すらできあがっていない。トイレの設置は最後の方なので、私たちにトイレが必要になるのはどんなに早くても3か月くらい先だ。コロナが流行り始めたばかりの頃は『梅雨に入れば湿気でウィルスの影響が弱まるのでは』という話もちらほら聞かれていて、そこまで危機感を感じるほどの状況ではなかった。

それが、あれよあれよという間に日本でも感染が拡大し、対岸の火事どころではなくなってしまった。私たちもシゼンさんも戸惑いつつ、とりあえずちょっと様子見ましょうか、と話して打ち合わせを1週間延期した。

みなさんご存じの通り、国内での感染が確認され始めた頃の日本の状況は、予定をたかだか1週間引き延ばしただけで事態が変わるようなことは全くなく、むしろ悪化する一方だった。日々感染者数が増え、医療現場からの悲痛な叫びがそこらじゅうから聞こえるようになり、不要不急の外出は自粛をという声がどんどん大きくなっていった。

途方に暮れた。何が正解か分からない。私たちのこの用事は『要』にはあたらないのか。『急』ではないのか。一方で、回数を減らしたり時間帯をずらしたりしつつも通勤を続けていた私たちが感染していないという保証はどこにもない。シゼンさんにも、ナチュラル社主催の忘年会でお見かけしたシゼンさんのかわいいお子さんたちにも移すわけにはいかない。結局、打ち合わせをもう1週間延期してもらうようシゼンさんへ連絡を入れた。ここまでの流れから当然の結果として、大工さんとの工事前の顔合わせもできなくなってしまった。

それでも事態は何も変わらなかった。それどころか、延期した打ち合わせの日を目前にして緊急事態宣言が発令されてしまった。避けられないだろうと思ってはいたものの、いざ実際に発令されると『えらいことになった』という緊迫感がすごかった。

緊急事態宣言が出てすぐシゼンさんに連絡し、カーテンなどを決めるのにどれくらい猶予があるか確認した。シゼンさんからはカーテンも火災保険もまだまだ全然間に合います、と回答がきた。その言葉に安心し、今度は期間を設けず打ち合わせの中断を決めた。シゼンさんも同意してくれて、緊急事態宣言が明ける頃を目途に改めて日程を相談することとなった。

打ち合わせの中断から数週間経ち、地鎮祭の余韻もそろそろ覚めてきた頃。家から出ずに過ごすことはや2か月、ようやく着工の連絡をもらった。着工まで時間がかなりかかった印象だ。途中でシゼンさんにまだ始まらないのでしょうかと確認したら、建築許可などの申請関連で不備があったことが主な原因で遅くなっていると聞いた。不備は純粋にナチュラル社側の事務ミスで、私たちが何か決めそびれたとかそういうことではないらしい。やきもきしたが始まったのならよしとしよう。

工事が始まると、ほとんどの連絡がユージさんから来ることになった。基礎が完了した様子などの写真を送ってもらい、「おー。」と夫と感動したりした。そんなやりとりの中で『上棟だけは見学させてほしいので前もって予定を教えてほしい』とお願いした。


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送られてきた基礎工事の写真


上棟。それは文字通り『棟』を『上』げること。棟とは屋根のてっぺんを指すそうで、要するに建物に屋根が乗っかることだ。屋根が乗ると家の骨組みが完成したことになる。上棟の日はここまで無事工事が進められたことをお祝いして上げたばかりの屋根の下で関係者が集まって会食したり、高いところからお菓子やおひねりを撒いたりする地域があるらしい。そこまでやらなくても、大工さんにお弁当を配ったりお土産としてお酒を配ったりする人もいるそうだ。

シゼンさんに聞くと、私たちの建てた地域では作業の流れのひとつでしか無いらしく、見学に来る人も差し入れする人もあまりいないとのことだった。出費や面倒ごとから逃れられそうでほっとしつつも少し寂しい。それに上棟も地鎮祭と同じで、この先お目にかかれる機会はほぼ無いだろう。自粛ムードは続いていたが、せめてこの日だけは『要』として見学に行かせてもらいたかった。

ユージさんにお願いした数日後、上棟の日程が送られてきた。緊急事態宣言の解除が現実的になり始めた頃で平日だった。私も夫も会社を休んで見学に行かせてもらうことにした。


・・・

上棟当日。雲は多めだったがところどころで青空が見えている。雨は降らなさそうだ。安心した。いつも会社へ行くよりずっと早く起きてはりきって向かった。

起きたのは早かったが支度に時間がかかってしまい、本当はATMに寄ろうとしていたのに寄れなくなってしまった。思ったより早く現地に着くことができたので、そこでようやく落ち着いてお金を引き出し、カフェに寄ってポチ袋にお金を入れた。事前にシゼンさんからは聞いた情報では、この日だけは手伝いの大工さんが数人やってきていっせいに作業をされて、屋根を上げた後からは、お1人で進めて下さるらしい。手伝いの大工さんがいったい何人来て下さるのか見当がつかなかったが夫に相談し、夫の計算で数を決め、それに予備としてプラス1つ多くポチ袋を作った。イベントらしさは無いが、せめてほんの気持ち程度でも大工さんたちにご祝儀をお渡ししたかった。これからもコロナのせいであまり見学できない可能性が高く、差し入れができなさそうな分、なおさらそう思っていた。

棟梁あてのポチ袋にはお金と一緒にご挨拶カードも入れることにした。ご挨拶カードに書いた文面はこんな感じ。

施主の●●と申します。これからよろしくお願いいたします。お気づきの点がありましたらいつでもご連絡ください。
電話番号 xxx-xxxx-xxxx


ご祝儀の準備もできたので現地へ歩いて向かった。あと数百メートルというところまで近づくと道路の曲がり角に警備員さんが立っているのが見えた。我が家の工事のための警備員さんだった。家の前の道路がかなり狭く、作業者が停まっている間、車の通り抜けができないための配置だった。そうか。こういう方たちへの配慮も必要だったかと少し焦る。挨拶しながら警備員さんの横をすり抜け、とうとう土地の前に立った。既に工事は始まっていて、建材をクレーンで2階へ積み上げるクライマックスは終わってしまっていた。残念。

キビキビと作業される大工さんたちの人数を、わーと感嘆の声をあげつつ作業に見とれているフリで必死で数えた。ポチ袋は予備を含めてちょうどぴったりだった。良かった。密かに胸をなでおろした。

私たちと同じように家の前の道路に立ち、ひっきりなしに電話されている方がいた。電話がひと段落するのを待ち、声を掛ける。ユージさんだった。ご挨拶するとひょいっと家の中まで入って棟梁の方を呼んで下さった。初めましてのご挨拶を交わす。棟梁という立場にしては若そうな方だったが、頼りなさは一切なく職人さんらしいかっこよさに溢れている。若い棟梁ということはそれだけ仕事のできる人なんだろう。ユージさんがなぜか自慢げにとても丁寧な仕事をされる方なんですよ、と言う。自分の予想を肯定されたようでうれしかった。棟梁はいえいえ、と謙遜されつつよろしくお願いしますと続けてから中へ戻って行かれた。その間にも作業はどんどん進んでいた。家の組み立てと足場の組み立てが同時並行で進められていく。足場の組み立てでは金属音が鳴り響いていた。かなり大きな音でびっくりしてしまった。家の組み立てをやっている人たちの手には大きな木槌があった。私の大好きな某新宿舞台スナイパーもっこり漫画でしかお目にかかれないようなサイズ。あれはちょっと持ってみたかった。

棟梁と挨拶した後も家の前の道路に立ってただただひたすら家の柱が組み立てられていくのを眺めていた。すごく面白い。柱はあらかじめ決められたサイズ、形にカットされていて、それを組み合わせてボルトを打ち込んでいく。職人さんたちは何十本とある柱を1本ずつ持ち上げては迷わず移動して組み立てる。よく柱の位置を間違ったり迷ったりしないものだと感心してしまった。そして時折、木の香りがふわっと漂ってきた。いい匂いだ。これからはこんな匂いのする木に囲まれて暮らしていくのか。


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見る見る間にできあがっていく家の骨組み


飽きずに眺めていると10時を過ぎた。素人目にも何となく作業の区切りがつきそうな雰囲気を感じた。夫にこそっと声をかけて、差し入れの飲み物を買うため近くのコンビニまでひとっ走りした。何が喜ばれるか分からないのでメジャーなものを揃えようと、コーラ、ダカラ、ポカリ、午後ティーレモン、ストレート、無糖、麦茶×2、おーいお茶×2、水×2、缶コーヒーbossブラック×2、fire微糖×2、bossレインボー×2を購入。ずっしり重い袋を持ってえんやこら戻るとちょうど休憩が始まっていた。ジャストタイミングだ。飲み物が入った袋をそのまま棟梁へお渡しすると、棟梁はお礼を言って受け取り、他の職人さんたちに向かって飲み物頂きました、と声を掛けて下さった。職人さんたちは皆さん礼儀正しく、口々にきちんとお礼を言ってくれる。現場はきれいに整頓されていたし、ちゃんとしている方々ばかりで良かった。残った飲み物は棟梁がクーラーボックスに入れていた。なるほど。クーラーボックスを導入しているのか。いちいち感心してしまう。

職人さんたちが休憩されている間、私たちは見学中と同じ位置に佇み、写真を撮ったりして過ごしていた。しばらくすると職人さんたちが私たちの家の図面を見てざわついているのが聞こえてきた。今回、私たちは他の家ではあまり見ない場所へ下地を入れようとしていたのだが、その部分に対してこれはなんだ、何のためのものだ、本当にここでいいのか、と首をひねっている様子だった。ユージさんが私たちのところに図面を持って聞きに来た。夫が絵で説明し、上手いこと伝えることができた。見学に来ていてよかったね、と夫と話した。

10時の休憩が終わり、作業が再開される。家の骨組みはほとんどできあがっていた。ユージさんに、屋根が上がるのは何時ころでしょう…?と聞いてみた。ユージさんが棟梁に確認してくれる。昼すぎには…ということだった。午前中にそこまで進んでしまうのかと驚く。それにしてもいつまで見てても飽きない。

再開後もひたすらに作業を見守っていると、ご近所の奥さんが顔を出した。挨拶しつつご立派なおうちですねとお世辞を言われ、いえいえそんなと返す。5分しないくらいの間だったが立ち話を続け、それでは…という感じで戻っていった。偵察だろうか。

気を取り直して見学を続けていたらシゼンさんがやってきた。おめでとうございます、ありがとうございます、と挨拶を交わす。しばらく一緒に作業を見守りながら、進むのが早いですねぇ。みんな迷いなく作業していてすごいですねぇ。なんて朗らかに会話していたら、今度は先ほどいらした奥さんのご主人がやってきた。シゼンさんに向かってちょうどよかったと言いながらあそこのブロックのところ、こういうので補強したらいいんじゃない、とホームセンターで見かけるようなプラスチック製の柵を見せてくる。お宅でこういうの安く仕入れられるでしょう?とご主人が続けた。シゼンさんが、ええ…、まぁ仕入れられますが…あまり強いものではないので…とやんわり断ろうとしたが、いやいやでも何かしないと、と譲らない。ご主人が補強しようと言っている場所は、元々こちらから工事の提案をしたのにお金が負担できないと断られたところだった。今更なぜ…。結局、夫が「検討します。」と言ってその場を収めた。ご主人が家の中に入ってからシゼンさんに断られたあと何か連絡もらってたんですか?と聞いてみたが、いえ、何も…とシゼンさんも戸惑っている様子。とにかく、あんなダサくて脆い柵つけられても困る。シゼンさんがそれとなくお話しして断っておきますと言ってくれたのでお任せすることにした。

棟梁の言葉通り、お昼近くになると家の骨組みはほとんどできあがった。続けて、家の全面がネットで覆われていく。そして工事現場でよく見る、あの看板が立てかけられた。私たちの名前が書かれている。なんとも不思議な気持ちだ。


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工事の看板


ここまででお昼休憩になった。今度は夫が飲み物を買いに行き、警備員さんたちの分も買って直接渡してくれた。警備員さんは道路の端と端、それぞれ1人ずつ配置されていた。最初に飲み物をお渡しした方からは、え、よろしいんですか。ありがとうございます。と丁寧に返されたそうだが、もう1人はアイス片手にえっ、いいのー?とだいぶフレンドリーな受け答えだったらしい。しかも制服にバニラアイスが付いていた、と聞かされ笑った。

そろそろおいとましようか…とタイミングをはかり、職人さんたちがお昼寝する前に棟梁へお声がけした。お礼を述べつつ、これ、皆さんに…とポチ袋を預ける。棟梁がすぐ他の人たちに施主さんからいただきました、と声をかけてくださり、また皆さんから口々にお礼を言われた。いえいえ、ほんの気持ちなんでと答えてから、工期遅れてもいいのでとにかく怪我だけはしないでください。くれぐれも安全第一で、とお願いしてその場を後にした。

見学に夢中な時は感じなかったが、さすがに4時間以上立ちっぱなしでいたので疲れていた。とりあえずひとやすみしようとすぐ近くのカフェへ向かう。夫は見学の間、蚊に刺されまくっていたらしい。気付いたら私も左中指の第一関節付近だけ刺されていた。痒がりながらカフェに入り、来てよかったねぇと夫と喜び合った。

数日後、緊急事態宣言が解除された。やっと打ち合わせを進めることができる。最後の難関、カーテンだ。


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↓目次はこちら

家づくり記録 目次① (1)~(10)1度目の検討
 家を作ろうと決めたきっかけから家づくりを1度諦めるまで。

家づくり記録 目次② (11)~(23)建築会社決定
 1度諦めた家づくりに再トライして建ててもらう会社を決めるまで。

家づくり記録 目次③ (24)~(32) 建築開始
 家を建ててもらう会社が決まり、土地の購入から建築工事の開始まで。