star_of_bba’s diary

甲状腺、卵巣と立て続けに手術したのち遊び歩いてます。

家づくり記録(39)夫だけの漆喰見学

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【前回までのあらすじ】
変な位置に建具を付けられそうになったけどなんとか回避した

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設計書通りに作ると階段と干渉してしまう建具の位置を修正し、どうにか体裁を整えることができた私たち。一時はどうなることかと思ったが、その後は特に大きな問題もなく、無事に工事は進んでいった。ちなみに修正の工事が終わってからも時々見学にお邪魔させてもらったが、自粛が解除されたとは言え自分たちが行けばそれだけ気を遣わせてしまうことには変わりないのであまり頻繁には行かないようにしていたし、行くときは必ず事前に棟梁へ連絡を入れた。

棟梁の大工仕事が終わると、その後は内装工事が進んでいく。天井のクロスが貼られ、その後に壁の施工だ。私たちがナチュラル社に決めた大きな理由の一つ、漆喰壁がいよいよお目見えする。私も夫もとても楽しみにしていて、漆喰を塗る工程はぜひ見学したいと考えていた。

ユージさんにはトラブルが起きた際の現地での打ち合わせでも、その後に連絡をもらった際にも、漆喰の施工はぜひ見学させてほしいという希望とあわせてスケジュールが分かったら教えてほしい、と何度かお願いした。その甲斐あって、ユージさんからはこの日に棟梁の仕事が終わる予定なので、何事も無ければ漆喰はこの日ですね。という回答をもらうことができた。そうか。内装に進むということは棟梁が現場に来なくなるということか。

棟梁は私たちが気付かないような細かい部分で絶対にやっておいた方が良い家の加工を提案してくださったり、建具のトラブルが起きた時に施工側の人間の中で唯一人、現地で話し合いをと勧めてくださったり、本当にお世話になった。最終日には絶対お礼がしたい。

というわけで、棟梁のお仕事の最終日に見学へ行った。当日は電気コンセントがつくはずの位置に穴が開いてなくて業者に言っておきます、と請け合ってもらったり、今ならまだ何とかなります、他の電気工事の位置は大丈夫ですかと気にしてくださったり、最後の最後まで本当にお世話になった。帰る間際、改めてお礼のプレゼントを渡した。プレゼントは暑い日が続いていたので飲むゼリーのちょっといいやつ詰め合わせにした。それとは別でいつものように差し入れの飲み物も買ってあったが、遠慮されてしまいそうだったので棟梁が使っているクーラーボックスにそっと追加して帰った。

後日、棟梁からはゼリーのほかに飲み物までありがとうございました。というお礼のメールを頂いた。そこには、お2人に喜んでもらえるよう頑張らせていただきました。何かあったら連絡ください。と職人の誇りと自信に満ちたあたたかい言葉が書かれていた。この棟梁に建ててもらえて本当に良かった。改めてもう一度お礼の言葉を返信した。

棟梁との感動的なお別れも済ました。これで心置きなく漆喰の見学ができる。念のためもう一度ユージさんへ漆喰の施工日に見学に行くことをメールした。ユージさんからは何時頃いらっしゃいますか?と返信がきたので予定の時間を返す。再びユージさんから、その時間に自分が行けそうだったらご一緒します、難しい場合は職人にお2人がいらっしゃることを伝えておきます、と返信があった。準備は万端だ。

見学日当日。バスに乗って現地に向かい、予定の時間通り到着した。バス停からてくてくと歩き、家へと近づく。遠くに見えた家の前に、いつもは見ない黄色い紐のようなものが見えた。…なんだろう。

家の真ん前まで来た。目の前にはチェーンが張られている。なんだこれ。

チェーンを跨いで家に近づいた。玄関ドアを開けようとするが鍵がかかっている。中に誰かいる気配は全くない。なんだろう。どうしたんだろう。

夫と約束の日間違えたかな?今お昼に行ってるのかな?と様々な可能性を考えた。ユージさんとのメールを見返すが、やりとりされている日程は今日だ。お昼にしてはもう午後の時間をだいぶ過ぎている。

夫がユージさんに電話してくれた。何度目かのコールで出たらしいユージさんに、夫が状況を説明する。しばらくやりとりした後、携帯から顔を離した夫が私に向かって言った。

「今日は漆喰やってないんだって。1時間くらい待てばユージさんが来て中を見られるようにしてくれるって言ってるけど、どうする…?」

まだまだ暑い日だった。この炎天下、何もない場所で1時間も待つってどういう罰ゲームだろう。

ちょっと1時間ここにいるのは無理かな…と私が呟き、夫もだよねと言ってすぐ電話に向き直り、今日はもういいです、と断った。そして、何日も前から連絡していたのにこんな状況になってるのは本当に困ります、ちゃんとしてください。とはっきり怒った口調で伝えてくれた。電話を切ってから、だめだこの人、と夫が呟いた。珍しく夫がしっかり怒っていた。

人間、怒ってくれる人がいるとそれで気が済んじゃうものらしい。この時は夫が怒ったのを見て私は逆に落ち着いてしまっていた。夫は、今までのことは誰が悪いというものじゃなくて仕組みが原因で起きていたことだから仕方ないと思ってたけど、今回のは明確にただただユージさんが悪い。と言っていた。その通りだと思う。私はその仕組みを考えたのだっておまえらじゃんか、という気持ちがあってこれまでもなかなか怒りを収められなかったが。

2人でぷりぷりしながら再びバスに乗り、お昼を食べに行った。料理が運ばれてくるのを待っている間にユージさんからメールが入っているのに気づいた。開いてみると『申し訳ありませんでした。今から現地に向かいますのでもしよろしければお越しください。』と書かれていた。まったく理に適っていなくて尚更腹立たしい。夫に黙ってメール画面を見せる。夫がそこは不要ですって返そうか、と言うのでしぶしぶ『必要ありません』という内容でメールを作り始めた。そのメールができあがる前に夫の携帯に着信が入る。携帯を見た夫がユージさんからだ、と言って電話に出るためにお店を出て行った。

数分後、夫が戻ってきて今から現地に行くって話は断ったよ、と言った。漆喰の施工業者は数が少なく、工事の日程は数日の幅を持って設定されるものらしい。その中のどの日に入るかは業者次第となるそうだ。だから今日は休みだったとユージさんは言いたかったらしいが、では事前にやりとりしていたあのメールは何だったのかという話にしかならない。夫も同じことを電話で言って次は無いようにしてください、と改めて苦情を申し立ててくれたらしい。ありがたいことだ。

こうして漆喰の見学は仕切り直しになってしまった。もう一度教えてもらったスケジュールはちょうど1週間後。今度こそと希望に燃えたが、その日私は病院へ検査に行く予定が入ってしまい、残念ながら見学は不参加になってしまった。当日は夫だけで現地へ向かい、写真と動画を撮って帰ってきてもらった。動画で見ただけでも職人の技は大変すばらしく、塗りあがった壁の様子もうっとりするような美しさだった。ぜひともこの目で実際の様子を見たかった。一生恨む。うっすらとしていたユージさんへの不信感はこうして北国の雪のように降り積もり、アイスバーンのように固く固く、強固なものへと変わっていった。


漆喰の施工から数週間経った頃、シゼンさんから久々にメールをもらった。


引き渡しの日程が決まったという連絡だった。



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家づくり記録 目次① (1)~(10)1度目の検討 - star_of_bba’s diary
 家を作ろうと決めたきっかけから家づくりを1度諦めるまで。

家づくり記録 目次② (11)~(23)建築会社決定 - star_of_bba’s diary
 1度諦めた家づくりに再トライして建ててもらう会社を決めるまで。

家づくり記録 目次③ (24)~(32) 建築開始 - star_of_bba’s diary
 家を建ててもらう会社が決まり、土地の購入から建築工事の開始まで。

家づくり記録 目次④ (33)~ 完成 - star_of_bba’s diary
 工事の始まりから完成まで。