star_of_bba’s diary

甲状腺、卵巣と立て続けに手術したのち遊び歩いてます。

家づくり記録(44)完成検査

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【前回までのあらすじ】
住宅ローンの金消契約を済ませた。

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フクミミさんのご尽力により無事住宅ローンの金消契約を結ぶことができた私たち。ひと安心したのもつかの間、今度はシゼンさんから照明について相談がきた。設計のときに選んだ照明が着工後に家の構造上つけられないと分かり、ユージさんから他の場所と同じものに変えて良いですかと聞かれてOKを出したのに、その照明も付けられなかったという。約束のすっぽかしや、ブログにいちいち書いてこなかった諸々の対応の遅さなど、これまでの色々が積み重なってとうとう私の堪忍袋の緒が切れた。ユージさんのことが全く信用できなくなってしまった。





最初で最後の苦情

家はもう完成目前だ。引渡される前に「完成検査」と呼ばれる工程がある。ナチュラル社と私たちで設計書通りに家が建っているか確認する場だが、私はこの検査をユージさんとやりたくなかった。検査で何か不具合が見つかっても、もうユージさんには安心して任せられない。

私と夫にしては珍しく意見が分かれ、長い話し合いがなされた。完成検査は他の人に来てほしい、と主張する私。ここまで携わってきたユージさんがいなくなると一連の流れが分かる人が誰もいなくなってしまい、より大きな不具合が出かねないと反対する夫。結局夫が私の気持ちを汲んで、他の人に同席してもらうようお願いしてみたら、と言ってくれて、私がシゼンさんへ電話することになった。

夫と話し合った翌朝、意を決してシゼンさんに電話を掛けるが留守電になってしまった。出鼻をくじかれちゃったなと思いつつ照明の件とお願いがあって電話しました、とメッセージを吹き込んだ。

数時間後にシゼンさんから折り返しがあった。そこでまずは金消契約のお礼を伝え、照明の件も再度提案されたものにOKを出す。それからお電話したのはもうひとつご相談がありまして。ユージさんのことなんですけど。と切り出した。何の話だろうという雰囲気に溢れた「……?はい…?」というシゼンさんの返事を聞いた私は一気に喋った。

照明なんですけど、最初に他と同じものでって提案されたのはユージさんなんですよね。それで分かりましたと答えたのに、結局付けられないっていうお話で。当然、つける場所とか大きさとかを調べて、付けられると確かめた上で提案いただいたものだと思ってたんです。なんでそんな確認もしていないものを提案されたのかなって不信感持ってしまって。それに、それだけじゃなくて。ここまでの積み重ねで、ちょっともう信用できなくて。約束していた現場見学とか、駅までのお迎えとかすっぽかされたり。質問していた●●の件だって、もういいんですけど、結局今もお返事いただいていないですし。

『すっぽかされた』話をしたところで電話越しにシゼンさんからの『あちゃー…。』という空気を感じつつ、さらに続ける。

こういう状態で、ユージさんと完成検査しても信用できないですし、ちょっと、もう…嫌なんです。皆さんお忙しいとは思うんですけど、検査には他の方もご同席いただけないでしょうか。


書いただけでは伝わらないと思うが、我ながらものすごくつっかえつっかえ、しどろもどろだったと思う。色んなことが起きたし、正直どうかと思う場面もあったけれど、ここまでシゼンさんとはお互い正面から真摯に向き合ってきたつもりだ。大変だったけれどずっと楽しかった。ユージさんのことをいくらなんでも酷いと思ったのは確かだけれど、それは私の主観でしかない。個人的な感情でこんなことを言って良いのかという迷いや、これまで築いてきた信頼関係を自分の手で壊してしまうことになるのではという不安で、心の中はいっぱいいっぱいだった。

ほんの少しだけ間を置いてから、シゼンさんはいつになく重い口調でそんな風に思わせてしまってすみません、と一番最初に謝ってくれた。そして、完成検査には私も立ち会いますので、と言ってくれた。

私の話をきちんと受け止めてもらえたことと、シゼンさんが一緒に立ち会ってくれるということに心から安堵した。分かりました。それなら大丈夫です。安心しました。と答えてお礼を言う私にシゼンさんが、ただ、あのですね、一つだけ、照明の件でお話させていただけるのなら…と続ける。そのまま耳を傾けていると

ユージは猪突猛進なところがありまして、照明についても最初に思い込みで突っ走ってしまったというか…。

…あるんだ。『猪突猛進』って言葉が目からの情報じゃなくて、耳から入ってくること。日常の会話の中でこの単語が出ること、あるんだ。

シゼンさんがすらすらと繰り出した『猪突猛進』というワードに思考の半分以上を持って行かれ、残りの会話は上の空で終わらせてしまった。何を話して電話を切ったのか正直覚えていない。

とにかく、完成検査の担当はユージさんだけじゃないことが分かった。正直な気持ちをぶつけたことで私のもやもやもすっかり晴れた。今でもこの時ちゃんと声をあげて良かったと心から思っている。私が電話することを受け入れてくれた夫には感謝しかない。


資料作成

電話したことですっかり調子づいた私は、最後の完成検査に向けてまた夜なべして確認用の資料を作成した。間取りをざっくりとした図で描き、1部屋ずつに分割してから壁、床、建具の仕様、設備の型番、コンセントと照明の位置を書き込んだ。文字だけじゃなくて選んだ仕様のサンプルや、設備の写真も載せていく。

これまでの見学で撮影した実物の写真と最終図面を見比べたりして必死に作っていたら、検査前のこのタイミングで図面と違う設備を見つけてしまった。oh…。

のんべんだらりとネットを観ていた夫に声を掛ける。設備がちがう…。えっ、と夫。ほら。これ。と図面と写真を見せると、あっ。ほんとだ。セッケイさんに勧められて変えたところだよね、と夫。記憶力の良い人で助かった。

完成検査は翌日に迫っていた。どうする…?どうしようもないよね…。とりあえず、明日指摘しようということで意見は一致した。検査スタート前に言った方がいいかな。と夫。先に言うとそればっかり気になって他のところを見落とされるかもしれないから止めておこう、と私。そうだね。じゃぁその場で気付いたフリしよう。と言って夫は驚く演技の練習を始めた。その練習は…必要なのだろうか…?もうよく分からない。資料作成で疲弊し切った私は突っ込む気力もなく、段ボールに囲まれたグチャグチャな部屋で繰り返される夫のわざとらしいリアクションをただただぼんやりと眺めていた。


そして完成検査当日

当日は午前中からの集合だった。シゼンさんの言葉に安心したとは言え、ユージさんがメインの検査になることは間違いない。うっすらとした不安をぬぐい切れないまま夫と現地へ向かった。約束の時間通り家へ近づくと、中から声がする。もう来ているんだ思いながらさらに玄関へ進むと中からドアが開いた。ああ、こんにち…と挨拶しかけて一瞬目が点になってしまった。

「どうも~おはようございます~。今日はよろしくお願いします~。」そこにいたのは、普段通りにこやかに挨拶するシゼンさんと…

「おはようございます。はじめまして。ブチョーと申します。」

見たことないおじさんだった。

あ、どうも。…?ユージさんは……?戸惑う私たちにシゼンさんがすかさず言った。「実はユージは身内に不幸がありまして。今日はブチョーと私で対応させていただきます。」そう…ですか…。よく分からないけど、まぁ、そういうことなら、と深く考えず現実を受け入れることにした。

それではさっそく、ということで家の外から検査を始める。決められた位置に給湯器や電気のメーターがあるかなど、持ち込んだ資料と実物を交互に見ながらチェックを進める。壁に多少のキズや汚れはあったが、概ね問題なく検査は粛々と進んだ。コンセントは付いている位置だけじゃなくて通電も忘れず確認した。シゼンさんが自分のスマホの充電を抜き差しして電気が入るかチェックしてくれる。

雲行きが怪しくなったのは水回りの設備確認からだった。はい、ここにお風呂ですね。シャワーついてますね。水も出ますね。

シゼンさんとブチョーさんのニコニコ顔を見ていると心苦しかったが、思い切って言う。「はい、あの~…頼んだものと、色が、違います…。」シゼンさんとブチョーさんの顔がニコニコ顔のまま固まった。手元の資料をすごい勢いでバラバラめくったシゼンさんの顔が歪む。「そう…ですね…。ちがい、ますね…。」さらに確認を進めていくと、もう一か所、今度はドアの種類が違いますというところを発見。面白いほどわかりやすく、シゼンさんから元気がなくなっていった。

ドアの種類についてはシゼンさんが持っている資料では型番しか分からなかったようで「どんな形のものでしたでしょうか…?」と私の作ってきた資料を覗き込んで確認された。作ってきて本当によかった。夜なべした苦労が報われた瞬間だった。

全ての確認が終わったのはお昼過ぎだった。結果、大きなNGは2つだけ。他にベランダの工事について雨が続いたため予備日も含めて予定が全部流れてしまい、引き渡し後の工事となりそうという話もあったけど、これはもう天気相手じゃ仕方ない。生活するのに困る場所ではないし、我々が立ち会える日に工事してもらえれば引き渡し後でも問題無いですと話して引き続き日程の調整をお願いし、検査は終了。その場で解散となった。

帰り道を歩きながら夫と話す。ユージさん、本当に不幸だったのかな…?分からないね…。まだナチュラル社で働いているのかな…?わからないね…。いくら考えたって答えは出ない。考えるのをやめた。それよりも大事なのはNGになったドアの種類と水回りの色だ。シゼンさんはリカバリ方法について明言を避けて「確認します」とだけ言っていた。今から交換できるんだろうか。交換できるとして、引き渡しまで残り1週間を切っているのに間に合うんだろうか。もしもう変えられないと言われてしまったらどうしよう。

最後の最後まで気が抜けない。とにかく、シゼンさんとナチュラル社の対応を信じるしかない。検査が終わってからすぐ修正箇所をまとめてシゼンさんへメールしたが、シゼンさんからはありがとうございます。諸々対応します。という返事が届いたきりで、具体的な修正方法の連絡は無いまま引き渡し当日を迎えることになった。


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家づくり記録 目次① (1)~(10)1度目の検討 - star_of_bba’s diary
 家を作ろうと決めたきっかけから家づくりを1度諦めるまで。

家づくり記録 目次② (11)~(23)建築会社決定 - star_of_bba’s diary
 1度諦めた家づくりに再トライして建ててもらう会社を決めるまで。

家づくり記録 目次③ (24)~(32) 建築開始 - star_of_bba’s diary
 家を建ててもらう会社が決まり、土地の購入から建築工事の開始まで。

家づくり記録 目次④ (33)~ 完成 - star_of_bba’s diary
 工事の始まりから完成まで。