star_of_bba’s diary

甲状腺、卵巣と立て続けに手術したのち遊び歩いてます。

家づくり記録(30)残存物回収

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【前回までのあらすじ】
家の仕様を決めた

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家の設備や内装などの打ち合わせを進めた私たち。家を建てるために決めることの多さに慄きながらも、夫と2人でああでもないこうでもないと考え、2回の打ち合わせでなんとか形にできた。その2回目の打ち合わせが終わった日のこと。いつもだったらお昼を食べてさっさと家に帰るところだが、夫と私は購入した土地に向かっていた。


...

それは2回目の打ち合わせより2週間ほど前、ナチュラル社と請負契約を結んだ日のことだった。長い長い契約書の読み合わせがようやく終わり、開放感に満ち溢れた気持ちでナチュラル社の外に出た我々とシゼンさん。そんななごやかムードの中、シゼンさんに預けていた古家の鍵を借り、ちょっと様子見てきまーすなんて言いつつウキウキと購入した土地に向かった。

土地に建つ古家は傷みがかなりひどく、軒下の塗装が剥がれてぽろぽろ落ちているような状態だった。この様子だと家の中もだいぶ傷んでるかもしれない。少し緊張しながら鍵を開けて中に入る。…が、中は想像以上にきれいで、なんていうか、ちゃんとした『おうち』だった。思わずお邪魔します、と口にしながら奥へと進む。1階がLDK。入り口から見て奥の方にキッチンが配置されていた。キッチンの横から廊下に出ると、向かい側にお風呂とトイレ。2階にもあがってみようと玄関すぐの階段を見上げる。踏み出すまでは怖かったが、見た目よりしっかりした状態でそれほど不安がらずに上れた。2階は和室が1つ、洋室が2つ。こじんまりしていたが、暮らしやすそうな家だった。

夫と2人、新しい家の間取りを思い浮かべながら日当たりや窓から見える景色を想像して歩き回る。だいたい見終わり、いい感じだねと言い合いながらそろそろ帰るかと考えていた時だった。

ふと、台所の換気扇を見上げてすぐ横に御札が貼られているのを見つけた。あぁ、火の周りに御札貼るのとかよく見かけるよなぁとそのまま見つめて考える。こういう御札は軽いおまじないみたいなもんだし、このまま取り壊しても仕方ないかと一人で結論を出しつつ、見上げた姿勢のまま振り返る。そこで初めて他の壁にも御札が貼られていることに気付いた。…え?もしかして、本気の御札…?お土産屋さんとかで買うようなシールじゃないの…?

夫に「ねぇ、御札が貼られてる。」と声をかけて改めてリビングの壁をぐるりと見渡す。御札はそれぞれの壁に1枚ずつ、合計3枚貼られていた。そして部屋の中心には見上げるような位置に棚が作りつけられている。これはどう控えめに見ても神棚のポジションだ。

御札は天井すれすれの高いところに貼られていたため、肉眼では何と書かれているか判断できなかった。スマホで撮影したものを拡大してどうにか解読。『ケンガイハードコア神社』と書かれていた。…なんでここにケンガイハードコア神社の御札が…?

ケンガイハードコア神社は私の出身地近くにあり、新しく買った土地からは県境を2つ超えないとたどり着けないような、この土地とあまりゆかりの無さそうな神社だ。

まぁ県境2つと言っても同じ関東圏だし、そこそこ有名な神社なのでこのあたりに住む方たちが行ってもそんなに不思議がることではないかもしれない。だけど私たちにとってはもう1つご縁を感じてしまうような出来事があった。こちらの神社、私も夫も今まで1度も行ったことは無かったのだが、去年、私が友人に贈るお守りを授かりたくて初めて行ったところなのだ。あれからちょうど1年。お守りをお返しする目安と言われる1年が経つ…。

暗くなってきたのでとりあえず古家を出た。夫も私も、あまりの偶然に信じられない気持ちでもう少し詳しく調べようとそれぞれネット検索をかける。すると、同じ名前の神社が土地の近くにもあることが分かった。夫がこっちのケンガイハードコア神社からもらったんじゃない?と言う。安心しかけたが、私が見つけた画像で御札のデザインや文字が私の地元のケンガイハードコア神社のものと完全に一致してしまった。これは…もう疑いようもなくあちらのケンガイハードコア神社だ…。画像が一致した御札をさらに調べると、この御札は10枚貼ることでご利益があるものらしい。じゅうまい…?さっき見てきたリビングの3枚だけじゃないってこと…?

売主の方は初老の女性だった。家を引き払うとき、高い位置に貼った御札を剥がすのは困難だったのだろう。それは仕方ないことだと思う。私たちのように土地を買った人間が古家に入るとは限らない。しかし、入ってしまった。見てしまった。そろそろ返さなくちゃいけないお守りまである。

「…返さなくちゃ、まずいよね…?」「…そうだね。」

こうして『廃墟に貼られた御札を全て探し当てて回収し、友人に贈ったお守りと一緒に神社へお返しする』というホラーゲームもびっくりなイベントが発生した。イベントの実行日は次回の打ち合わせ帰りと決めた。


...

イベント前日。前回見つけた御札は全て手が届かない高さに貼られていた。踏み台程度では届かなさそうだ。夫のアイデアで100均のマジックハンドを購入することにした。

会社帰りに近所の100均に寄ってマジックハンドを探す。最初に見つかったのは派手な色柄で完全に子供の玩具だった。夫に写真を送って「こういうことじゃないよね?」と確認。それでもいいけど…と夫。


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最初に見つけたマジックハンド。派手。


2件巡ったけどちょうど良いのが見つからない。最悪の場合は最初に見つけた玩具を使うしかない。近所の100均は残り1軒。ここに無ければ1軒めのお店に戻ってあの玩具を買おうと決めて向かった最後のお店で思い描いていた形のものが無事見つかった。黒くて細長いタイプ。良かった。これで持ち歩いてもそんなに恥ずかしくない。

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無事見つけられたおとなしいマジックハンド。

当日はヘッドライト、マスク、頭を覆うためのタオル、荷物を置くためのビニールシートなどの完全装備で古家を訪れた。早速ビニールシートに荷物を置いてマジックハンドを取り出し、御札の回収に取り掛かる。まずは前回来た時に見つけた3枚から。

剥がすのは想像していたより難儀した。御札は画鋲でしっかり貼り付けられていた。物が物なので引っ張って千切るのも気が引ける。どうにか画鋲を外すしかない。おまけに高い位置にあるので腕を上げっぱなしで作業しなくてはいけないのが地味にしんどかった。

夫と代わる代わるマジックハンドで画鋲を掴み揺すって緩める。しぶとい。何か、なにか画鋲と御札の間に差し込めそうなもの…。

夫が苦戦してる間に家の中をガサガサ探し回った。ガサガサと言っても空き家なので物が置かれてるわけもなく、せいぜい備え付けの棚を見るか床を隅々まで見渡すくらいしかできない。……あった。トイレの床にお誂え向きのマイナスドライバーが転がっていた。なにこれ。怖い。怖いけど助かる。サンキュー。

夫のもとへ戻り、ドライバーあった…と声をかけた。…は?と夫。うん。私もそう思ったよ。

とにかくこのドライバーのおかげで作業はグンと進んだ。まずは前回見つけた3枚を剥がし終わる。残りあと7枚。家じゅうグルグル回って探す。お風呂場で1枚発見。御札ってお風呂場の中に貼ってもいいんだ…。

次がなかなか見つからない。どこかなどこかなと夫と2人でそれほど広くない家の中を2階も含め何周も探し回った。ようやく玄関に1枚発見。ここはマジックハンドでも届かず、備え付けられていた靴箱に私がこわごわ乗って外した。靴箱はミシミシ言いつつ持ち堪えてくれた。

さらに探し回り、3周めのチェックでトイレでも1枚見つけた。よしよし。

2階は何度探しても見つからなかった。どうもこれ以上は無いっぽい。神社のサイトの説明でも全部貼り切れなかったら神棚に祀りましょうと書かれていた。きっと残りは神棚に祀られていたのだろう。

もう無いよね…?もう一回見る…?などとリビングに戻って夫と相談していると、家のすぐ外、敷地内で物音がした。なんだろう?車の音のような…?

玄関から外をそっと覗くと予想通り車が家の前に停められるところだった。運転していたのはシゼンさんだった。シゼンさんやセッケイさんには午前中の打ち合わせで終わってから御札を回収しに行くとは伝えていたが、何時に行って何時に帰るとか、そんな話は一切していない。なんでこんな、そろそろ終わりでいいかなというタイミングに合わせたようにシゼンさんが…。

シゼンさんは解体前に一度様子を見ておこうと思って立ち寄ったらしい。一緒に中に入って少し立ち話。解体はこの日の翌日から作業開始するらしい。間に合って良かった。

シゼンさんに御札は全部回収できたと思うが、もし解体業者の方が見つけたら預かってくれとお願いした。シゼンさんは分かりましたと言って解体業者さんへの見本として御札を撮影してくれた。

良かったら駅までお送りしますよと言ってもらったのでお言葉に甘える。後でナチュラル社に寄って返却するつもりだった古家の鍵もその場でシゼンさんに渡せたし、作業後の送迎までついた。至れり尽くせりだ。どうにかこうにか、役目は果たせたのだろう。そう思うことにした。最初から予定が組まれたかのように全てスルスルとタイミングよく滞りなく終えられた。

後日、解体が終わるのを待って追加の御札回収が無いことを確かめてから友人に返送してもらったお守りと御札を持って夫と2人、ケンガイハードコア神社へお参りした。厚く厚くお礼を述べて持ち込んだものをお返しする。なんだか肩の荷が降りた気持ち。

これで心置きなく新しい家が建てられる。改めて土地にご挨拶しなくては。そうだ、地鎮祭だ。いやいや、その前に全ての仕様の最終確認だ。


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↓目次はこちら

家づくり記録 目次① (1)~(10)1度目の検討
 家を作ろうと決めたきっかけから家づくりを1度諦めるまで。

家づくり記録 目次② (11)~(23)建築会社決定
 1度諦めた家づくりに再トライして建ててもらう会社を決めるまで。

家づくり記録 目次③ (24)~ 建築開始
 家を建ててもらう会社が決まり、土地の購入から建築工事の開始まで。